私たちの「コウノトリを再び福井の空へ」の取り組みは、平成15年9月から始まりましたが、何故「コウノトリ」かと申しますと、私たちの住む坂口地区に「武生(コウちゃん)」が三十数年前舞い降りたことから始まります。「武生」は十日間ほど坂口の田んぼでくつろいでおりました。 もちろん当時の坂口小学校の児童も餌を集めたり観察を続けたりしておりました。
 その「武生」にあいたいと兵庫県豊岡へのツアーを組んだのが、平成15年のことです。当時「武生」は高齢で危ないといわれながらも私たちの前に元気な姿を見せてくれました。
 「武生」はペアとなった「多摩」との間に百十五個も卵を産みましたが、唯一誕生し大きく成長したのが「紫」一羽だけなのです。 その「紫」からひなが誕生したと朗報が入ったのは平成17年のこと。 その年の秋豊岡ではコウノトリの放鳥が始まり、今後「紫」の子どもたかも放鳥の計画の中に入りそうです。 もしかしたら、「武生」の孫が祖母の故郷武生、今の越前市に飛んでくるかもしれないのです。
「コウノトリ」は空高く飛んでいても、餌が豊富にある場所かどうか、瞬時にして判断できる、確かな目を持っているとのこと。 もし、せっかく飛んできても、餌がないのでは素通りしてしまいます。そこで「コウノトリ」の餌となるドジョウを増やそうと、坂口校の子供たちと取り組んでいる最中です。
 自然豊かだといわれている坂口でも、いろんな生き物が減ってきています。 増えているのはイノシシだけかも…。 小さい虫がいて、カエルやクモがいて、ヘビもいて、何種類もの鳥がいる。そんな食物連鎖の中で自然というものは成り立っているのではないでしょうか。 「コウノトリ」というのはあくまでも最終目標です。そこまでたどり着くことができたなら、人間といろんな生き物たちがいきいきと共存し、豊かな自然と人間性が生まれてくるような気がします。
 ようやく春らしくなった里地里山を訪ねて、男性が見えられました。そして一言。
「坂口も鳥が少なくなったねえ。昔はもっといたよ」
                   野村 みゆき (越前市エコビレッジ交流センター指導員)

追伸
ついに私たちの住む坂口地区に舞い降りました。2011年8月18日
コウノトリ白崎
コウノトリ王子
田んぼづくり
展示室